岡林信康(粟谷佳司)

あんぐら音楽祭 岡林信康リサイタル(紙ジャケット仕様)
あんぐら音楽祭 岡林信康リサイタル(紙ジャケット仕様)
 同志社大学出身者である岡林信康同志社出身では中川五郎はしだのりひこと並んで関西フォークの立役者の一人である。
 ここで聴ける「アメリカちゃん」。これは替え歌の実践として言及されながら、これまでCD化されてこなかったので幻の曲だった。当時のフォークは、替え歌がひとつのキーワードになる。
 これが現在聴けるのは奇跡に近い。URCの復刻で岡林のところだけカットされていて、ちょっと不満だったのだ。

岡林信康 この男は滋賀県近江八幡で生を受け

で始まるMC。同志社大学神学部、ボクシング部、山谷。

 ここでの岡林の声は澄んでいる。「友よ」でカウントをとるのに「ワンツー」ではなく「さん、し」というところは、歌詞を(英語ではなく)日本語で歌うということ、つまり日本語のコミュニケーションをどのように考えているのかが表れていると思う。これは彼の著書でも書かれている。

 岡林の関西弁のMCとか歌と語りがミックスされたライブは演芸に通じるところがある。『狂い咲き』を聴いたときに、当時は関西という地域性と音楽が見事に合致していたことが発見できてフォークの奥の深さを感じたのだった。高石友也の声もいい。「We Shall Over Come」。
(粟谷佳司)